まほろばの国から、旬の奈良を、徒然なるままに
長岳寺仏画展「大地獄絵(狩野山楽筆)」を特別公開
山の辺の道にあり、桜や平戸つつじ、紅葉が美しい長岳寺で狩野山楽筆の大地獄絵が開帳されています。
本堂に、狩野山楽筆の大地獄絵が掛けられ、随時、住職による絵解き説法(閻魔の嘆き)が行われます。
★日 時:毎年 10月23日〜11月30日9時〜17時
★場 所:長岳寺 〒632-0052 奈良県天理市柳本町508
TEL: 0743-66-1051 FAX: 0743-66-0434
★費 用:拝観料 大人300円、大学・高校生250円、中学生200円、小学生150円
★交 通:JR、近鉄桜井駅から天理行きバス「上長岡(長岳寺前)」下車、徒歩7分
詳細は、長岳寺のホームページ地獄絵で!
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極楽地獄図 (狩野山楽筆 安土桃山時代 約400年前) 法量 全9幅構成 (合計 縦3.5メートル、横11メートル)
長岳寺に伝わる地獄絵である。法量の大きさ、図柄の精緻さ、各場面の描写の素晴らしさ、内容の豊かさは他に例を見ない。9幅の軸から構成されているが、全体が1枚の絵となっている。内容は図の上部全体に十王裁判図(合わせて十三仏)、図の中程から下部にかけて、冥界の入り口である墓地、罪問間樹、死天山、三途の川、奪衣婆、賽の河原、八大地獄、餓鬼道、畜生道、修羅道、など、すざましい情景が描かれ、見る者の心胆を凍らせる。第9軸は様相が一変して、極楽より阿弥陀如来が聖衆を引き連れて極楽往生する人を迎えにくる、いわゆる聖衆来迎図となっている。
元々、この絵を使って絵解きがされたものと思われる。祭礼、法要のあとに多くの参詣人を対象に解かれ、その目的は、方便として因果応報を解くことによって勧善懲悪の教えを説き、またあわせて先祖供養、中陰、逮夜、年忌の意義を説いたと考えられる。しかし、今、我々がこの図をみて感じることは、図本来の意味は、来世のことや、また運命決定論的な前世の因縁を説くことにあるのではなく、この図はまさしく、現世(人間界)を告発している図であるということだ。
この図に示されるすざましい三悪道(地獄、餓鬼、畜生)や修羅道の世界は、形を変えて、すべて我々の世界に存在するのでる。戦争というすざましい殺戮と大灼熱の地獄、飽くなき欲望に囚われて人を傷つけ、また、自らも傷つき、大いなる生命の源である自然破壊をも行う餓鬼道、相手の思いを理解できず猜疑心にとらわれた畜生道、激烈な競争社会で相手を殲滅するまで合い争う修羅道。 また、一念十界の教えの如く、我々の心の中に仏心もあるが、恐ろしい地獄の鬼の心や、醜く浅ましい餓鬼や畜生の心、心怒らせる修羅の心などが内在していることを示しているのである。